最終更新日:2026年1月6日
老後資金や将来の資産形成を考えるとき、必ず出てくる疑問が「iDeCoとNISA、どちらを優先すべきか」という問題です。2024年から新NISAがスタートし、2025年にはiDeCoの大幅な制度改正も発表されました。2027年1月にはさらなる拡充が予定されており、今まさに最適な選択をするための判断が求められています。
この記事では、最新の制度情報をもとに、年齢別・状況別にどちらを優先すべきか、具体的なシミュレーションを交えて解説します。
1. iDeCoとNISAの基本の違い
まず、両制度の基本的な特徴を整理しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴
メリット
- 掛金が全額所得控除の対象(最大の節税効果)
- 運用益が非課税
- 受取時も控除が適用される
デメリット
- 原則60歳まで引き出し不可
- 口座管理手数料がかかる(年間2,000〜7,000円程度)
- 受取時の税制ルール変更に注意が必要
2025年以降の主な変更点
- 2024年12月:企業年金加入者の拠出限度額が月1.2万円→最大2万円に拡大
- 2027年1月予定:会社員の拠出限度額が月6.2万円に、自営業者は月7.5万円に大幅拡充
- 2027年1月予定:加入可能年齢が70歳未満まで延長
NISA(少額投資非課税制度)の特徴
メリット
- 運用益が非課税(無期限)
- いつでも引き出し可能
- 年間投資枠360万円、生涯投資枠1,800万円と大容量
デメリット
- 掛金の所得控除はない
- 損失が出ても損益通算できない
2024年以降の主な変更点
- 2024年1月:新NISA制度スタート(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
- 2027年1月予定:18歳未満も「こども支援NISA」として利用可能に
2. 2024〜2027年の最新制度変更まとめ
iDeCoの改正スケジュール
2024年12月施行(実施済み)
- 加入時の事業主証明書が不要に
- 企業年金加入者の拠出限度額:月1.2万円→最大2万円
2027年1月施行予定
- 会社員(第2号被保険者):月6.2万円
- 自営業者(第1号被保険者):月7.5万円
- 加入可能年齢:70歳未満まで延長
2026年1月施行
- 受取時の「5年ルール」が「10年ルール」に変更
- iDeCoの一時金受け取り後、10年空けないと退職金の控除が重複適用できなくなる
NISAの改正スケジュール
2024年1月施行(実施済み)
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 非課税保有限度額:1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
- 非課税期間:無期限
2027年1月予定
- 18歳未満向け「こども支援NISA」開始
- 年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円
- 12歳以降は子の同意で引き出し可能
3. 年齢別優先度シミュレーション
20代:NISA優先型(配分比率 NISA 80% : iDeCo 20%)
推奨理由
- まだ住宅購入や結婚など大きな出費の予定が不確定
- 引き出し制限のないNISAの柔軟性が重要
- 所得が比較的低い時期なので、所得控除のメリットが限定的
シミュレーション例
- 年収400万円の会社員
- 月の投資可能額:5万円
- NISA:月4万円(年間48万円)
- iDeCo:月1万円(年間12万円、所得控除で約2.4万円の節税)
30年後の試算(年利3%想定)
- NISA:約2,300万円
- iDeCo:約580万円
- 節税効果累計:約72万円
30代:バランス型(配分比率 NISA 50% : iDeCo 50%)
推奨理由
- 収入が安定し、所得控除のメリットが大きくなる
- 教育資金などの出費に備えつつ、老後資金も本格準備
- 住宅ローン控除などとのバランスも考慮
シミュレーション例
- 年収600万円の会社員
- 月の投資可能額:8万円
- NISA:月4万円(年間48万円)
- iDeCo:月4万円(年間48万円、所得控除で約9.6万円の節税)
30年後の試算(年利3%想定)
- NISA:約2,300万円
- iDeCo:約2,300万円
- 節税効果累計:約288万円
40代:iDeCo優先型(配分比率 NISA 40% : iDeCo 60%)
推奨理由
- 所得が最も高くなる時期で、所得控除効果が最大化
- 子どもの教育費の目処がつき、老後資金準備に集中できる
- 引き出し制限も問題になりにくい
シミュレーション例
- 年収800万円の会社員
- 月の投資可能額:10万円
- NISA:月4万円(年間48万円)
- iDeCo:月6万円(年間72万円、所得控除で約21.6万円の節税)
20年後の試算(年利3%想定)
- NISA:約1,300万円
- iDeCo:約1,950万円
- 節税効果累計:約432万円
50代:状況に応じた戦略(配分比率は個別判断)
退職金がある会社員の場合
- 2026年1月からの「10年ルール」に注意
- iDeCoの一時金を60歳で受け取ると、退職金は70歳まで待たないと控除が重複適用できない
- 受取戦略をしっかり計画する必要がある
自営業者・退職金がない会社員の場合
- iDeCo優先でOK(退職金との兼ね合いがない)
- 2027年からの拠出限度額拡大を最大活用
シミュレーション例(退職金なし)
- 年収700万円の自営業者
- 月の投資可能額:12万円
- NISA:月5万円(年間60万円)
- iDeCo:月7万円(年間84万円、所得控除で約25.2万円の節税)
15年後の試算(年利3%想定)
- NISA:約950万円
- iDeCo:約1,330万円
- 節税効果累計:約378万円
4. 職業・年収別の最適戦略
会社員(企業年金なし)
年収300万円未満 → NISA優先(iDeCoの所得控除効果が小さい)
年収300〜600万円 → バランス型(両方を活用)
年収600万円以上 → iDeCo優先(高い税率で所得控除効果大)
自営業者・フリーランス
基本的にiDeCo優先
- 国民年金のみで老後資金が不足しがち
- 2027年からは月7.5万円まで拠出可能
- 所得控除で実質的な負担を軽減できる
ただし、収入が不安定な場合は要注意
- iDeCoは一度始めると途中でやめにくい
- まずNISAで基盤を作り、安定してからiDeCoを追加
専業主婦(夫)・パート
NISA一択
- 所得が少ないためiDeCoの控除メリットがない
- NISAで柔軟に資産形成
5. 併用する場合の配分方法
基本的な考え方
- まず生活防衛資金を確保(生活費6ヶ月分)
- 残りを投資に回す
- 年齢・収入・ライフプランで配分を決定
配分の目安
| 年齢 | 年収 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|---|
| 20代 | 〜500万円 | 80% | 20% |
| 30代 | 500〜700万円 | 50% | 50% |
| 40代 | 700万円以上 | 40% | 60% |
| 50代 | 状況次第 | 個別判断 | 個別判断 |
実践例:月10万円投資できる40代会社員
ステップ1:優先順位の確認
- 所得控除の恩恵が大きい→iDeCo優先
ステップ2:限度額の確認
- iDeCo:現在月2.3万円(2027年から6.2万円)
- NISA:月30万円まで可能
ステップ3:配分決定
- iDeCo:月6万円(2027年以降)
- NISA:月4万円
6. よくある質問と注意点
Q1. 両方始めるのは難しい。どちらか一方ならどっち?
A. 年収と年齢によります。
- 年収600万円以上の30代以降:iDeCo優先
- 年収600万円未満、または20代:NISA優先
- 自営業者:基本的にiDeCo優先
Q2. 2027年の改正を待ってから始めるべき?
A. 今すぐ始めるのがおすすめです。
投資は「時間」が最大の味方です。2年間待つことで得られる複利効果を失います。現在の制度でスタートし、改正後に増額するのが最適です。
Q3. iDeCoの「10年ルール」で損するケースは?
A. 退職金とiDeCoを両方一時金で受け取る予定の人は要注意。
- 60歳でiDeCo受取 → 70歳まで退職金を待つ必要
- 対策:iDeCoを年金受取にする、または受取時期を調整
Q4. NISAの1,800万円を使い切ったらどうなる?
A. その後はiDeCoや課税口座を活用。
ただし、NISAは売却すると翌年に枠が復活するため、実質的に長期運用が可能です。
Q5. 途中で方針を変更できる?
A. できます。
- NISA:いつでも売却・買い替え可能
- iDeCo:掛金額の変更は年1回、停止も可能(ただし引き出しは60歳まで不可)
まとめ:あなたに最適な選択は?
決断のためのチェックリスト
□ 20代で収入が少ない → NISA優先
□ 30〜40代で収入が安定 → バランス型
□ 40〜50代で高収入 → iDeCo優先(ただし退職金受取戦略を確認)
□ 自営業者 → iDeCo優先(老後資金が不足しがち)
□ 専業主婦(夫)・パート → NISA一択
最後に重要なこと
制度は複雑で、しかも頻繁に変更されます。この記事は2026年1月時点の情報に基づいています。実際に投資を始める前に、以下を必ず確認してください。
- 最新の税制改正情報を金融庁・厚生労働省の公式サイトで確認
- ご自身の勤務先の企業年金制度を確認
- 不明点は税理士やファイナンシャルプランナーに相談
完璧な答えを求めすぎて行動しないより、まず小額から始めることが大切です。投資は「時間」が最大の味方。今日が人生で一番若い日です。
出典・参考情報
最新情報の反映
- 2024年12月施行済みの改正(拠出限度額の変更、事業主証明書の廃止) NissayResona Bank
- 2027年1月予定の改正(拠出限度額の大幅拡大、加入年齢70歳未満への延長) NissayOricon
- 2026年1月施行の受取時の「5年ルール」から「10年ルール」への変更 KumitateruNTT West Japan
- 2027年開始予定の18歳未満向け「こども支援NISA」 NikkeiNomura Research Institute
本記事は以下の公的機関の情報に基づき作成しています。
- 厚生労働省「確定拠出年金制度」
- 金融庁「NISA特設サイト」
- 令和7年度・令和8年度税制改正大綱
最新情報は必ず以下の公式サイトでご確認ください:
- 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
- 金融庁:https://www.fsa.go.jp/
- 国民年金基金連合会(iDeCo公式):https://www.ideco-koushiki.jp/
制度の詳細や適用条件は変更される可能性があります。実際の投資判断は自己責任でお願いいたします。























