毎年6月になると届く住民税の通知書。金額を見て「去年より高い!」と驚いた経験はありませんか?実は2025年、多くの方が住民税の増額を実感しています。本記事では、住民税が上がる仕組みと、2025年特有の事情について、最新情報を基にわかりやすく解説します。
住民税の基本|前年の所得で決まる「後払い」の税金
住民税とは何か
住民税は、お住まいの市区町村や都道府県に納める地方税です。教育、福祉、消防、ゴミ処理など、私たちの暮らしに直結する行政サービスの財源となっています。
住民税は大きく2つに分かれます。
- 均等割:所得に関係なく一律で課される部分(標準額:年間5,000円)
- 所得割:前年の所得に応じて課される部分(税率:約10%)
所得税との決定的な違い
住民税を理解する上で重要なのが、所得税との時間差です。
- 所得税:「今年の所得に今年の税金」(現年課税)
- 住民税:「前年の所得に今年度の税金」(前年課税)
つまり、現在天引きされている住民税は、「前年の所得」にかかる住民税なのです。この仕組みが、住民税が予想外に高くなる大きな要因となっています。
住民税が急に上がる7つの理由
1. 前年の所得が増えた
最も一般的な理由です。住民税の所得割は、前年の所得をもとに算出されるため、一昨年と比べて前年の所得が高くなった場合、翌年の住民税も増加します。
具体例:
- 給与の昇給やボーナスの増額
- 転職による年収アップ
- 新入社員2年目(前年は収入がなかったため)
特に新入社員の場合、4月入社であれば2年目からは前年の4〜12月の収入に対して住民税がかかります。そのため、手取りが急に減ったように感じられます。
2. 副業や投資収入が増えた
投資や副業で得られた収入も所得です。年間20万円を超える場合には、確定申告が必要となり、課税対象となる所得が大きくなる分、住民税も増加します。
注意すべきは、副業所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税は免除されない点です。
3. 控除額が減った
今まで受けてきた所得控除を受けられなくなった場合は、逆に課税所得金額が増え、その結果住民税も上がってしまうことがあります。
控除が減る主なケース:
- 配偶者の収入増による配偶者控除の失効
- 子どもの独立や就職による扶養控除の減少
- 離婚や別居による扶養控除の変更
- 生命保険の解約による生命保険料控除の減少
例えば、配偶者控除(最大33万円)が適用外になると、住民税が約33,000円増加する計算になります。
4. 住宅ローン控除が終了した
住宅ローン減税を所得税と住民税の両方に適用していた場合は、住宅ローン減税の期間が過ぎた際に、所得税とともに住民税も大幅に上がってしまう可能性があります。
住宅ローン控除は通常10〜13年間の適用期間があり、終了すると税額控除がなくなるため、実質的な税負担が増えます。
5. ふるさと納税を利用しなくなった
前年はふるさと納税で税額控除を受けていたのに、今年は利用しなかった場合、住民税が上がることがあります。税額控除がなくなる分、納税額が増加するためです。
6. 【2025年特有】定額減税の終了
2024年度は、物価高対策として1人あたり1万円の住民税が自動的に減額されていました。しかし、これは2024年度だけの一時的なものであり、2025年度には同じような、もしくは新しい減税はありません。
2024年6月から実施された定額減税は以下の内容でした:
- 所得税:本人3万円+扶養家族1人につき3万円
- 住民税:本人1万円+扶養家族1人につき1万円
この減税措置が終了したことで、2024年と税額を比べ「減税される前の金額に戻った」ことで、税額が増えたように感じる人が多いのです。
7. 退職・転職による影響
昨年会社を退職し、現在は働いていないという場合、昨年の課税所得の金額に応じて住民税を納める必要があります。収入がなくても、前年の所得に基づいて課税されるため注意が必要です。
2025年度税制改正の影響|所得税は減税でも住民税は据え置き
「103万円の壁」が変わった
2025年分の所得税から基礎控除額が10万円引き上げられ、給与所得控除の最低額も55万円から65万円に引き上げられました。これにより、所得税の課税最低ラインが103万円から123万円(段階的に最大160万円)に引き上げられました。
しかし住民税の基礎控除は据え置き
重要なポイントは、基礎控除の改正は所得税のみで、個人住民税において変更はありません。
つまり:
- 所得税:基礎控除48万円→58万円(最大95万円)に増額
- 住民税:基礎控除43万円のまま据え置き
給与所得者の場合、給与所得控除(最低55万円)と基礎控除(43万円)を合計すると、住民税の課税が発生する年収の目安は100万円〜110万円程度となり、これは変わっていません。
実質的な影響
2025年度の税制改正により、所得税は減る見込みですが、住民税は基礎控除が43万円に据え置かれるため税負担も変わらない見込みです。所得税は減っても、住民税は減らないという状況が生じています。
住民税の納付時期と方法
6月から新年度が始まる
住民税は、基本的に前年の所得を基準に翌年度に課税される構造であり、毎年6月から翌年の5月までの期間で税金を納める仕組みです。
2つの納付方法
特別徴収(給与天引き)
- 会社員やアルバイトなど給与所得者が対象
- 会社が給与から毎月自動的に天引きし納税
普通徴収(自分で納付)
- 個人事業主やフリーランスが対象
- 年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて自分で納付
住民税を抑えるための対策
1. 控除を漏れなく申請する
適用できる控除を可能な限り利用することで、課税対象となる所得を少なくできるため、住民税が増えにくくなります。
主な控除:
- 医療費控除(年間10万円超の医療費)
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- iDeCoなどの小規模企業共済等掛金控除
2. ふるさと納税を活用
ふるさと納税は、自己負担2,000円で返礼品を受け取りながら、住民税の税額控除を受けられる制度です。計画的に利用することで実質的な税負担を軽減できます。
3. 収入の変動を事前に把握
前年の所得が大きく増えた場合は、翌年の住民税負担も増えることを見越して、計画的に資金を準備しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 収入が減ったのに住民税が高いのはなぜ?
A. 住民税は前年の所得で計算されるため、前年の所得が高ければ、今年収入が減っても高い住民税を納める必要があります。
Q2. 住民税が0円になる条件は?
A. 自治体によって異なりますが、一般的に以下の条件を満たす場合、住民税が非課税になります:
- 生活保護を受けている
- 前年の合計所得金額が一定額以下(扶養家族の人数による)
Q3. 住民税の金額が間違っている気がする場合は?
A. お住まいの市区町村の税務課に問い合わせてください。計算の根拠を確認し、誤りがあれば訂正してもらえます。
まとめ|住民税増加の理由を理解して賢く対策を
住民税が急に上がる理由は主に以下の通りです:
- 前年の所得増加
- 副業・投資収入の増加
- 控除額の減少
- 住宅ローン控除の終了
- ふるさと納税の未利用
- 2025年特有:定額減税の終了
- 退職・転職の影響
特に2025年は、2024年度に実施されていた定額減税(1人あたり住民税1万円)が終了したことで、多くの方が「住民税が高くなった」と感じています。実際には減税が終わって元の金額に戻っただけというケースも多いのです。
住民税は前年の所得に基づく「後払い」の税金という仕組みを理解し、控除の活用やふるさと納税などで賢く対策を講じることが大切です。
注意事項と情報の正確性について
出典について 本記事は以下の公的機関および信頼できる情報源を参照しています:
- 財務省「令和7年度税制改正の大綱」
- 総務省「個人住民税における定額減税について」
- 国税庁「定額減税特設サイト」
- 各税理士法人の解説記事
最新情報の確認を 税制は毎年改正される可能性があります。本記事は2025年12月時点の情報に基づいていますが、最新の情報については以下をご確認ください:
- お住まいの市区町村の税務課
- 国税庁ホームページ
- 総務省ホームページ
- 税理士などの専門家
個別の状況によって税額や適用される制度が異なる場合がありますので、具体的な判断が必要な場合は、税務署や税理士にご相談ください。























